頚動脈超音波検査
私たちの血管には2種類、「動脈」と「静脈」があります。近年、世の中では「動脈硬化」が注目されています。同じ血管でも体の表面に見える「静脈」とは違い、生命を維持する大切な脳や心臓、腎臓の動脈は外からは見ることが出来ません。
しかし、動脈のなかでも、頚動脈は体表面に近い動脈なので、超音波検査によって調べることが出来ます。したがって、頚動脈に動脈硬化があれば、おそらく全身の動脈にも同じような変化が起こっているはずです。それを調べるのが頚動脈超音波検査です。
検査の方法
検査は、超音波のプローベ(探触子)を首に当て、頚動脈の壁の厚みを測定します。この厚みを「内膜中膜複合体厚(Intima Media Thickness)」といい、IMTはその略語です。痛みはありません。左右あわせて10分程度で検査終了。
IMTは、30歳代の健康な人では0.3mmとかなり薄く、年齢が上がるにしたがって厚くなります。しかし、健康な人では1.1mmを超えることはありません。
IMTが1.1mmより厚くなるのは、頚動脈に「プラーク」という変性したLDL(悪玉)コレステロールがたまっているということです。そういう場合には、脳や心臓、腎臓の血管にも同様の変化が起こっている可能性が高いといえます。臨床的にも、IMTが1.1mmより厚いひとでは脳梗塞や狭心症や糖尿病が増えることが確かめられています。
実際の頚動脈の画像
正常の頚動脈。どこも厚みは1mm以下です。
頚動脈の太さは正常ですが、IMTは最大1.5mmと厚くなっています。この厚い部分を「プラーク」といいます。プラークというのは、変性したLDL(悪玉)コレステロールです。
このように、プラークがこぶ状になっていることもあります。
「頚動脈超音波検査」は「動脈硬化を目で見る検査」です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などは動脈硬化になりやすい危険因子です。当院では、それらの患者さんの動脈硬化の程度を知るために、また治療効果を判定するために、さらに患者さんが治療のモチベーションを維持するために積極的に頚動脈超音波検査を行っています。